正直に言うと、私も昔、ファクタリングで痛い目に遭いかけたことがあるんです。
6年前に会社を継いで間もない頃、大きな工事の資金繰りがどうしてもうまくいかなくて、初めてファクタリングの利用を考えました。
あの時は本当に、「手数料が高くても仕方ない」「とにかくこの危機を乗り越えなければ」と、藁にもすがる思いでしたね。
1社目はなんとか乗り切れたんですが、問題は2社目でした。
口では「手数料10%です!」なんて景気の良いことを言うのに、契約書には小さな文字でとんでもないことが書いてあったんです。
この記事を読んでくださっているあなたも、きっと当時の私と同じように、資金繰りのことで頭を悩ませている経営者の方だと思います。
だからこそ、皆さんには同じ失敗をしてほしくない。
そんな想いで今日は、私の恥ずかしい失敗談から学んだ、契約書に潜む悪質業者の罠を見抜く具体的な5つのポイントを、私の経験のすべてを込めてお話しします。
なぜ契約書のチェックが命取りになるのか?私の失敗談
口約束を信じたのが間違いの始まり
これは本当にあった話ですが、その業者(B社とします)の担当者は、電話口ではすごく感じが良かったんです。
「山田社長、建設業は大変ですよね。うちも建設業のお客さんが多いので事情はよく分かりますよ!」なんて言ってくれて。
提示された手数料も「10%」と、当時としてはかなり安く感じました。
私もつい舞い上がってしまって、「この人なら信頼できるかもしれない」と、すっかり安心しきっていたんです。
まさかその言葉の裏に、とんでもない罠が隠されているなんて、夢にも思わなかったんですね。
今思えば、この「口約束」を鵜呑みにしたのが、すべての間違いの始まりでした。
契約書に隠されていた「追加費用」の罠
後日、送られてきた契約書を見て、私は血の気が引くのを感じました。
あんなに「手数料10%」と言っていたのに、契約書の隅の方に、小さな文字でこんなことが書かれていたんです。
- 緊急案件手数料:5%
- 事務手数料:〇万円
- 出張調査費用:〇万円
全部合わせると、結局20%近い手数料になる計算でした。
慌てて担当者に電話したら、「あ、それは基本手数料の話でして…」なんて、しれっと言うんですよ。
この時、心底ゾッとしましたね。
もしあのままサインしていたら…と思うと、今でも冷や汗が出ます。
この経験が、どんなに焦っていても契約書だけは自分の目で隅から隅まで確認することの重要性を、骨身に染みて教えてくれました。
【元・被害者が伝授】悪質業者を見抜く契約書5つのチェックポイント
私の恥ずかしい失敗談を踏まえて、ここからは契約書を確認する際に「絶対に見てほしい」5つのポイントを具体的にお話しします。
これを知っているだけで、悪質業者に騙されるリスクをぐっと減らせるはずです。
チェックポイント1:手数料の内訳は本当に「それだけ」か?
まず一番大事なのが、手数料の内訳です。
「手数料〇%」という言葉だけに騙されてはいけません。
悪質な業者は、私のケースのように「基本手数料」を安く見せかけて、後から色々な名目で費用を上乗せしてきます。
契約書や見積書に、こんな言葉がないか必ずチェックしてください。
- 事務手数料
- 調査費用
- 出張費用
- 契約書作成費用
ちなみに、今私がメインで使っている優良業者さん(C社)の見積書は、本当にシンプルです。
「買取額」と「手数料」と「振込金額」しか書かれていません。
良い業者は、見積もりが誰にでも分かるように作られている。
これは私の経験から言える、一つの真実ですね。
チェックポイント2:「違約金・損害賠償」の条件が一方的すぎないか?
もし私がアドバイスするなら、手数料の次、いや、それ以上に重要だと言うのがこの項目です。
悪質な業者は、解約させないように、あるいは何かあった時に法外な請求ができるように、ここに罠を仕掛けてきます。
私が遭遇したB社の契約書には、こんな一文がありました。
「理由の如何を問わず、中途解約時には違約金として10万円を支払うものとする」
これ、おかしいと思いませんか?
もし業者側に不備があって解約したくても、10万円取られるということです。
他にも、売掛金の入金がたった1日遅れただけで、年利換算するととんでもないことになる遅延損害金を請求するような条項もあります。
「解約」や「遅延損害金」に関する項目は、特に念入りに読んで、少しでも「これは自社に不利すぎるな」と感じたら、絶対にサインしてはいけません。
チェックポイント3:「償還請求権あり」になっていないか?
「償還請求権(しょうかんせいきゅうけん)」…なんて、普段聞き慣れない言葉ですよね。
私も最初は「何のことだ?」と思いました。
これをものすごく簡単に言うと、「もし売掛先の会社が倒産して売掛金が回収できなくなったら、代わりにあなたの会社がその分を支払ってくださいね」という意味です。
これって、実質的には銀行からの融資、つまり借金と同じなんです。
ファクタリングの大きなメリットは、売掛金が回収できないリスクも一緒に買い取ってもらえることなのに、これでは何の意味もありません。
契約書に「償還請求権あり」とか「リコース契約」という文字があったら、それはファクタリングを装った融資契約の可能性が高いです。
本物のファクタリングは、必ず「償還請求権なし(ノンリコース)」が基本だと覚えておいてください。
チェックポイント4:契約形態は本当に「2社間ファクタリング」か?
取引先に知られずに資金調達できるのが、2社間ファクタリングの最大のメリットですよね。
でも、悪質な業者はこのメリットを逆手に取って、私たちを脅すための条項を契約書に紛れ込ませてきます。
例えば、こんな条項です。
「当社が必要と判断した場合、いつでも債務者(売掛先)に対し、本件債権譲渡の事実を通知することができる」
これはつまり、「私たちの言うことを聞かないなら、いつでもあなたの取引先にバラしますよ」という脅しの道具になってしまうんです。
2社間ファクタリングで契約する際は、ファクタリング会社の都合で一方的に取引先へ通知できるような条項がないか、必ず確認してください。
チェックポイント5:不必要な「債権譲渡登記」や「担保・保証人」を求められていないか?
「登記」とか「保証人」という言葉を聞くと、経営者なら誰でも身構えてしまいますよね。
特に少額の2社間ファクタリングなのに、必須でもない「債権譲渡登記」を求められ、高額な司法書士費用を請求してくる手口があります。
登記をすると誰でもその情報を見られるようになるので、取引先に知られてしまうリスクも出てきます。
また、ファクタリングは融資ではないので、原則として担保や保証人は不要です。
B社からは「会社の通帳を一時的に預からせてほしい」なんて、今考えればあり得ないことまで言われました。
こうした不必要な要求をしてくる業者は、まず間違いなく悪質だと判断していいと思います。
よくある質問(FAQ)
Q: 契約書に収入印紙が貼られていないのですが、大丈夫ですか?
A: 私の経験では、ちゃんとした業者は必ず法律に則って収入印紙を貼ってくれますね。
印紙税をケチるような業者は、他の面でもルーズな可能性が高いので注意した方がいいです。
あと、契約書の控えを「後で郵送します」と言ってなかなか渡さない業者も同様に怪しいですね。
Q: オンライン完結のファクタリング契約で気をつけることはありますか?
A: 私も緊急時にはオンライン系のE社を使いますが、一番大事なのは、契約書をデータで受け取った際に、すぐに隅々まで確認することです。
画面上で安易に「同意する」をクリックする前に、必ずPDFなどでデータを自分のパソコンに保存してください。
そして、できれば印刷して、専門家や信頼できる人に相談できるようにしておくことをお勧めします。
Q: 契約書の内容がおかしいと感じた時、どう断ればいいですか?
A: お気持ちはよく分かります。
資金繰りで切羽詰まっていると、断りにくいですよね。
でも、そこは勇気を出して「一度社内に持ち帰って、経理(妻)と相談します」とはっきり言うべきです。
「今ここで決めないと手数料が上がりますよ!」などと契約を急かす業者は、まず悪質だと思って間違いありません。
私もB社の時は、妻に相談するフリをして時間を稼ぎ、結局お断りしました。
Q: 「金銭消費貸借契約書」というタイトルの契約書が出てきたら?
A: それは絶対にサインしちゃダメです!
ファクタリングの契約は、必ず「債権譲渡契約書」という名前のはずです。
「金銭消費貸借契約書」というのは、完全にお金を借りる時の契約書なので、ファクタリングを装ったヤミ金の可能性が非常に高いです。
そんなものが出てきたら、すぐに席を立って逃げてください。
Q: 手数料が相場より安すぎるのも怪しいですか?
A: はい、その通りです。
私の経験上、安すぎるのには必ず裏があります。
最初は安い手数料を提示しておいて、後からB社のように色々な名目で追加費用を請求してくるパターンがほとんどです。
2社間ファクタリングなら手数料の相場(だいたい8%~18%くらい)を知っておくだけでも、良い判断材料になりますよ。
まとめ
ここまで私の失敗談を基に、悪質な業者を見抜くための契約書チェックポイントを5つお話ししてきました。
正直、資金繰りに本当に困っている時は、目の前の契約書をじっくり読む精神的な余裕なんてないかもしれません。
私もそうでしたから、その気持ちは痛いほど分かります。
でも、その一瞬の判断が、あなたが守りたい大切な会社と従業員、そして愛する家族の未来を左右してしまうかもしれないんです。
手数料の内訳、不利な違約金、償還請求権の有無、通知の条件、不必要な担保。
この5つだけは、どんなに急いでいても必ずご自身の目で確認してください。
私の恥ずかしい失敗が、今まさに同じように悩み、戦っている経営者の皆さんを一人でも守ることができたなら、これほど嬉しいことはありません。