従業員の給料が払えない…資金繰り危機を救ったファクタリングの実話

正直に言うと、6年前のあの日、私は従業員の給料が払えないかもしれないという恐怖で眠れませんでした。
埼玉県川口市で父から継いだ、山田建設という小さな建設会社を経営しています、山田誠と申します。

大型案件の受注に喜んだのも束の間、目の前には深刻な資金繰り危機が迫っていました。
銀行融資は間に合わない。
従業員12人とその家族の顔が浮かび、胃がキリキリと痛む毎日。

そんな崖っぷちの状況で私が出会ったのが「ファクタリング」です。
今だから話せますが、最初は手数料の高さに驚き、悪質業者に騙されかけもしました。

この記事では、私が6年間で経験したファクタリングの全て、成功も失敗も包み隠さずお話しします。
同じように資金繰りで悩む経営者仲間の、何かの助けになれば幸いです。

あの日、会社の金庫は空っぽだった…初めての資金繰り危機

喜びから一転、3000万円の大型案件が招いた悪夢

あれは6年前のことです。
山田建設の歴史でも一番と言っていい、総額3000万円の大型マンション建設工事を受注できたんです。
従業員みんなで喜んだのを、今でも覚えています。

しかし、喜びも束の間でした。
建設業っていうのは、材料の仕入れや職人さんたちへの支払いが先に出ていく商売です。
工事代金が全額入ってくるのは、工事が無事に終わってから。
この時間差が、会社の資金をあっという間に食いつぶしていきました。

職人さんたちへの支払いを考えると、本当に夜も眠れませんでした。
会社の未来を賭けた大きな仕事が、一転して悪夢に変わってしまったんです。

迫る給料日と、間に合わない銀行融資

あっという間に、従業員の給料日まであと1週間。
会社の通帳の残高は、見るたびに減っていきます。

慌ててメインバンクに相談に行きましたが、「審査に時間がかかります」という非情な返答。
分かってはいましたが、目の前が真っ暗になりましたね。

従業員のみんなには、それぞれの生活があり、守るべき家族がいます。
経営者として、みんなの給料だけは絶対に遅らせるわけにはいかない。
その責任とプレッシャーに、本当に押しつぶされそうでした。

経理を担当している妻の美香とは、毎日二人で通帳を眺めてはため息をついていました。
「どうしよう…」その言葉しか出てこなかったですね。

背に腹は代えられない…手数料18%からのスタート

初めてのファクタリングと家族会議の夜

万策尽きた私が藁にもすがる思いで連絡したのが、ファクタリング会社でした。
インターネットで必死に探して見つけたんです。

電話口で事情を話すと、「大丈夫ですよ、すぐに資金化できます」と心強い言葉。
しかし、提示された手数料は18%でした。
1000万円の請求書を買い取ってもらっても、手元に残るのは820万円。
正直、頭をガツンと殴られたような衝撃でした。

その夜、妻と二人で家族会議を開きました。
「それって、結局は借金なんじゃないの?」と心配する妻に、ファクタリングが債権の売買であって融資とは違う仕組みだということを必死で説明しました。
当時高校生だった息子のことも頭をよぎりました。
親の会社が大変なことになっているなんて、不安にさせたくなかった。
本当に辛かったですね。

でも、他に選択肢はありませんでした。
会社を、そして従業員を守るために、私たちはファクタリングを利用することを決断したんです。

従業員への正直な告白と、ベテラン職人の一言

最初は、従業員のみんなにこのことを隠していました。
余計な心配をかけたくなかったんです。

でも、妻から「みんな、何かあったんじゃないかって心配してるよ」と聞いて、考えを改めました。
朝礼の場で、正直に全てを話すことにしたんです。

会社の資金繰りが厳しいこと。
給料を遅らせないために、ファクタリングという手段を使うこと。

シーンと静まり返る中、みんな固唾を飲んで私の話を聞いていました。
どんな顔をされるか怖かったですが、一番のベテラン職人さんが口を開いてくれたんです。

「社長、それで会社が安定するなら良いことじゃないか。俺たちはいつも通り、良い仕事をするだけだよ」

あの言葉には、本当に救われました。
涙が出そうになるのを、必死でこらえましたね。
このチームなら、絶対に乗り越えられる。
そう確信できた瞬間でした。

「口約束と違う!」悪質業者に騙されかけた地獄の体験

甘い言葉の裏にあった契約書の罠

初回のファクタリングで何とか危機を乗り越えた後、少しでも手数料の安い会社を探そうと、別の業者に連絡を取りました。
それが、私の大きな失敗でした。

そのB社という業者の担当者は、口ぶりがうまくてね。
「建設業界の事情はよく分かってますから」「他社より絶対安くしますよ」なんて甘い言葉を並べて、当初は手数料10%を提示してきました。

すっかり信用して契約を進めていたんですが、いざ契約書にサインする段になって、信じられないことが起きたんです。
「緊急案件なので追加手数料がかかります」と言われ、よく見ると契約書には小さな文字で「事務手数料」「調査費用」なんて項目がびっしり。
結局、合計で20%近い手数料になっていました。

契約書を隅々まで読まなかった自分も悪いんですが、完全に後出しジャンケンです。
あの時の担当者の、人の良さそうな顔が豹変したのを忘れません。

10万円の勉強代。私が学んだ悪質業者の見分け方

すぐに契約のキャンセルを申し出ましたが、時すでに遅し。
違約金として10万円を支払う羽目になりました。
本当に悔しかったですが、高い勉強代だったと今は思っています。

この恥ずかしい話ですが、私の経験から悪質業者の見分け方をお伝えします。
同じ失敗をしないでください。

  • 契約を異常に急がせる
  • 手数料の内訳が曖昧(「事務手数料」など追加費用が多い)
  • 契約書に不利な条項が小さな文字で書かれている

この3つが揃ったら、危険信号です。
必ず複数の会社から相見積もりを取って、冷静に比較検討することが大切ですね。

信頼が資産になる。手数料を18%から6%に下げた交渉術

良い担当者との出会いが会社を救う

悪質業者とのトラブルの後、もうファクタリングはやめようかとさえ思いました。
でも、そんな時に出会ったのが、今でもメインでお付き合いしているC社です。

C社の初回手数料は12%。
決して安くはありませんでしたが、担当者の方が非常に誠実でした。
私の会社の状況を親身になって聞いてくれ、建設業特有の入金サイクルの悩みにも深く共感してくれたんです。
この人なら信頼できる。
そう直感し、継続して利用することを決めました。

継続利用と実績で信頼を築く

手数料の交渉は、焦らず段階的に行いました。
私の経験では、これが一番効果的です。

  1. 【第1段階】継続利用を約束(12% → 10%)
    「今後も継続的に利用させていただきたい」と伝え、半年間の利用を条件に交渉しました。
  2. 【第2段階】利用実績を示す(10% → 8%)
    半年後、月々の利用額が安定している実績データを提示し、さらなる引き下げをお願いしました。
  3. 【第3段階】他社比較と信頼関係(8% → 6%)
    1年後、正直に他社の見積もりも提示しつつ、「でも、御社と長く付き合いたいんです」という気持ちを伝えました。

結果的に、信頼関係をベースに6%まで手数料を下げてもらうことに成功しました。
目先の安さだけでなく、長く付き合える信頼できるパートナーを見つけることが、結果的に一番のコスト削減に繋がるんです。

【現在の山田建設】ファクタリングを使いこなし、経営を安定させる方法

季節変動も怖くない!攻めの資金繰りへ

建設業は、どうしても年末年始や梅雨時期に仕事が減り、資金繰りが厳しくなりがちです。
以前は、その時期が来るたびにヒヤヒヤしていました。

でも今は、ファクタリングを計画的に活用することで、その季節変動にも余裕を持って対応できています。
例えば、仕事が減る梅雨時期の前に、あえてファクタリングで手元の資金を厚くしておく。
そうすることで、従業員の給料や経費の支払いに不安を感じることなく、安心して次の繁忙期に備えることができるんです。
守りから攻めの資金繰りができるようになったのは、大きな進歩ですね。

用途で使い分ける3社のファクタリング活用術

今では、3社のファクタリング会社を用途によって使い分けています。

  • メイン:C社(手数料6%)
    月2〜3回の定期的な運転資金の調達に使っています。信頼関係があるので、手続きもスムーズです。
  • サブ:D社(手数料8%)
    数千万円単位の大型案件を受注した際の、初期費用調達専用です。大口に強いのが特徴です。
  • 緊急時:E社(手数料7%)
    オンライン完結で24時間対応してくれるので、急な支払いが発生した時のお守りのような存在です。

このように、各社の強みを理解し、自社の状況に合わせて使い分けることで、より柔軟で安定した経営が可能になりました。

よくある質問(FAQ)

Q: ファクタリングって、結局は借金と同じじゃないんですか?

A: 私も最初はそう思いました。お気持ちはよく分かります。法的には「債権の売買」という契約で、借金(金銭消費貸借契約)とは全くの別物です。一番の違いは、万が一取引先が倒産しても、その売掛金を返済する義務がない点です(ノンリコース契約の場合)。 銀行の融資枠にも影響しないので、あくまで別の資金調達手段と考えるのが良いと思います。

Q: 家族や従業員には、どう説明すれば理解してもらえますか?

A: これが一番難しい問題かもしれませんね。私の場合は、正直に会社の状況を話しました。「みんなの給料を絶対に遅らせないための、今できる最善の策なんだ」と。特に従業員には、「会社を守り、みんなの雇用を守るための前向きな手段だ」と伝えることが大切です。隠すのが一番の不信感に繋がりますから

Q: 手数料が高くて、逆に資金繰りが悪化しませんか?

A: 確かに、私の最初の18%は正直言ってかなり痛かったです。だからこそ、業者選びと手数料交渉が命綱になります。継続利用で手数料を下げてくれる優良業者と長く付き合うこと、そして緊急時だけに利用を限定するなど、計画的な利用が重要です。ファクタリングに頼りきりの経営になってしまうのは危険ですね。

Q: 悪質な業者に騙されないためには、何に気をつければいいですか?

A: 私の失敗から言えるのは、まず「契約書を絶対に隅々まで読むこと」。そして「手数料の内訳を明確にしてもらうこと」です。「事務手数料」とか「調査費用」とか、後から色々な名目で費用を上乗せしてくる業者は要注意です。 複数の会社から相見積もりを取って、冷静に比較するのが基本中の基本ですね。

Q: 建設業ですが、ファクタリングを利用する上で特有の注意点はありますか?

A: 建設業は工事代金の入金サイクルが長いので、ファクタリングと非常に相性が良い業界です。 ただ、注意点としては、工事の進捗状況によっては債権として認められないケースがあること。信頼できる業者なら、建設業の事情をよく理解しているので、その辺りも汲んで親身に相談に乗ってくれますよ。

まとめ

6年前、従業員の給料を払えないかもしれないと一人で震えていた夜のことを、今でも時々思い出します。
ファクタリングは、あの時の私たち親子を、そして山田建設を救ってくれた命綱でした。

もちろん、手数料というコストはかかりますし、悪質業者のような落とし穴も存在します。
でも、正しく理解し、信頼できるパートナーを見つけさえすれば、これほど心強い資金調達手段はありません。

もし今、あの時の私と同じように、一人で資金繰りに悩んでいる経営者の方がいたら、伝えたいです。
一人で抱え込まないでください
私のこの失敗だらけの体験談が、あなたの会社を、そして大切な従業員と家族を守るための一歩を踏み出す、小さな勇気になることを心から願っています。