建設業におすすめ!業界特化型ファクタリング業者の選び方

先日、同業者の集まりで「山田さんとこは、どうやって資金繰りしてるの?」と聞かれました。

正直に言うと、私も6年前、大型案件の資金繰りで頭を抱え、初めてファクタリングを利用したんです。
あの時の手数料は18%。
本当に背に腹は代えられない状況でした。

今だから言えることですが、悪質な業者に騙されそうになったこともあります。

この記事では、そんな私の6年間の七転八倒の経験を元に、同じ建設業を営む仲間として、皆さんが失敗しないための「業界特化型ファクタリング業者の選び方」を、包み隠さずお話しします。

なぜ建設業に「特化型」ファクタリングが必要なのか? 私の経験談

支払いサイトの長さと先行投資…建設業特有の悩み

私も高校を卒業してから大手ゼネコンで現場を経験し、親父の会社に入りましたが、この業界の資金繰りの難しさは本当に身に染みています。

材料費や職人さんたちへの人件費は、どんどん先に出ていく。
それなのに、工事代金の入金は数ヶ月後なんてことがザラですよね。
この構造的な問題は、会社の規模が大きくなっても、小さくても変わりません。

だからこそ、私たちの業界の事情を本当に分かってくれる業者と付き合うことが、何よりも大切なんです。
「ああ、建設業はこれがあるから大変なんですよね」と、ただ口先で言うだけでなく、その上で最適な提案をしてくれるパートナーが必要不可欠です。

「とりあえず」で選んだ一手目が命取りに…手数料18%の重み

私が初めてファクタリングを利用したのは、3000万円ほどの大型マンションの建設工事を受注した時でした。
会社の将来にとって大きなチャンスでしたが、同時に運転資金がショート寸前になる危機でもありました。

銀行融資を申し込んでも、審査に時間がかかり、とても工期に間に合わない。
従業員の給料日も刻一刻と迫ってくる…。
あの時の焦りは、今でも忘れられません。

藁にもすがる思いでネットで見つけたA社に連絡し、何とか資金を調達できましたが、その時の手数料が18%でした。
正直、目ん玉が飛び出るほど高いと思いましたが、当時は他に選択肢がなかったんです。
この経験から学んだのは、「焦りは禁物」そして「最初の業者選びが会社の命運を分ける」ということでした。

【失敗から学ぶ】ファクタリング業者選びで絶対に見てはいけないポイント

口先だけの「業界最安値」…悪質業者B社との遭遇

これは本当にあった話ですが、A社の高い手数料に懲りて、次に「業界最安値の手数料10%」を謳うB社に乗り換えようとしたことがあります。

電話口の担当者はとても感じが良く、「建設業界の事情はよく分かってますから!」と頼もしいことばかり言うんです。
すっかり信用して契約寸前まで話が進んだんですが、送られてきた契約書を見て、血の気が引きました。

小さな文字で「緊急手数料」「事務手数料」「調査費用」といった項目がびっしり書かれていて、全部計算したら結局20%近い手数料になるカラクリでした。
すぐに契約はお断りしましたが、本当に危ないところでした。
この恥ずかしい話から学んだのは、口約束は絶対に信用せず、契約書の隅々まで自分の目で確認することの重要性です。

「建設業に詳しい」は本当か?見せかけの専門性を見抜く方法

「建設業専門」や「建設業に強い」と謳っているファクタリング会社はたくさんあります。
でも、その言葉を鵜呑みにしてはいけません。

本当に業界を理解している「本物のプロ」と、口先だけの「なんちゃって専門家」がいるんです。
その違いを見抜く一番分かりやすいポイントが、注文書や発注書の段階で買い取りに応じてくれるかどうかです。

私たちの仕事は、請求書を発行するずっと前に、材料の仕入れなどで大きなお金が必要になりますよね。
そのことを理解している業者なら、請求書発行前の段階でも相談に乗ってくれるはずです。
「請求書がないと無理ですね」の一点張りの業者は、残念ながら、私たちの業界の本当の苦労を分かっていない可能性が高いです。

私が6年かけてたどり着いた!建設業ファクタリング業者選び「5つの鉄則」

ここからは、私の6年間の失敗と成功から導き出した、信頼できるパートナー業者を見つけるための具体的な方法をお話しします。

鉄則1:手数料は「相場」ではなく「交渉」で決める

私の手数料は、最初の18%から始まり、今ではメインで利用しているC社と6%で付き合っています。
これは、ただ黙って言い値を払っていたわけではありません。
ちゃんと段階を踏んで、交渉を重ねてきた結果です。

私が実際に行った交渉のステップは以下の通りです。

  1. 初回利用後:「今後も継続的な利用を考えている」と伝え、まずは相場の上限から中間に下げてもらう。(18%→12%)
  2. 半年後:「毎月安定してこれくらいの金額を利用している」という実績を示し、さらなる引き下げを依頼する。(12%→10%→8%)
  3. 1年後:「実は他社さんから、もっと良い条件の提案もいただいてまして…」と、他社との比較を材料に最後の交渉をする。(8%→6%)

大切なのは、良好な関係を築きながら、こちらの利用実績という「カード」を効果的に見せることです。

鉄則2:1社に依存しない!「メイン・サブ・緊急時」の3社体制を築く

卵を一つのカゴに盛るな、とよく言いますが、これはファクタリング業者との付き合い方も同じです。
1社だけに依存していると、急に担当者が変わって対応が悪くなったり、より大きな案件に対応できなかったりするリスクがあります。

今の私の体制はこうです。

  • メイン:C社(手数料6%)…月々の定期的な運転資金調達に。対面でじっくり相談できる安心感がある。
  • サブ:D社(手数料8%)…数千万円単位の大口案件専用。注文書段階での買い取りにも対応してくれる。
  • 緊急時:E社(手数料7%)…オンライン完結型。急な資金需要が発生した時に24時間いつでも申し込める。

このように複数社と付き合っておくことで、リスクを分散し、どんな状況にも柔軟に対応できるようになります。

鉄則3:担当者の「現場感覚」を試す質問をする

契約前の面談は、業者を見極める絶好のチャンスです。
私は、担当者の実力を測るために、あえて建設業特有の質問を投げかけるようにしています。

例えば、こんな質問です。

  • 「梅雨の時期は工事がストップしがちで、資金需要の波が読みにくいんですが、そういった季節変動についてはどうお考えですか?」
  • 「下請法との関連で、支払いサイトが長めの案件でも対応は可能ですか?」
  • 「元請けからの入金が少し遅れた場合、どれくらい柔軟に対応してもらえますか?」

これらの質問に対して、マニュアル通りの答えではなく、具体的な事例を交えて答えてくれる担当者は、現場感覚を持っている可能性が高いです。

鉄則4:オンライン完結型と対面型のメリット・デメリットを知る

最近は、申し込みから入金まで全てネットで完結するオンライン型のファクタリングが増えています。
私も緊急時用にE社と契約していますが、これは本当に便利です。

ただ、それぞれに良し悪しがあることを理解しておく必要があります。

  • オンライン完結型
    • メリット:スピードが速い、手間がかからない、手数料が比較的安い傾向
    • デメリット:担当者の顔が見えない、複雑な相談がしにくい、融通が利きにくい
  • 対面型
    • メリット:担当者に直接相談できる安心感、複雑な案件にも柔軟に対応してくれる、長期的な関係を築きやすい
    • デメリット:審査に時間がかかる場合がある、必要書類が多い

どちらが良いというわけではなく、スピードを重視するならオンライン型、じっくり相談して長期的な関係を築きたいなら対面型、というように状況に応じて使い分けるのが賢いやり方です。

鉄則5:家族と従業員への説明を怠らない

これは経営者として、とても大切なことだと私は思っています。
ファクタリングは借金ではありませんが、会社の資金繰りに関わる重要な話です。
周りは心配して当然です。

私も初めて利用する前の晩、妻と二人で家族会議を開きました。
経理を担当している妻は「そんな高い手数料で本当に大丈夫なの?」と心配していましたし、私も不安でした。
でも、会社の現状と、なぜこれが必要なのかを正直に話すことで、最終的には「一緒に頑張ろう」と理解してくれました。

従業員にも、朝礼で正直に話しました。
「会社の資金繰りを安定させるための、前向きな手段なんだ」と。
すると、ベテランの職人さんから「社長、それで会社が安定するなら良いことじゃないか」と言ってもらえて、本当に救われた気持ちになりました。
一人で抱え込まず、誠実に説明することが、結果的にチームの結束を強くすると私は信じています。

よくある質問(FAQ)

Q: 2社間と3社間ファクタリング、建設業にはどちらがおすすめですか?

A: 私の経験では、ケースバイケースですね。
手数料を少しでも抑えたいなら、取引先(元請け)の承諾を得る3社間ファクタリングが有利です。
私もメインで使っているC社とは、長年の信頼関係があるので3社間で契約し、手数料を低く抑えています。

ただ、取引先に資金繰りの状況を知られたくない場合や、新規の取引先との案件では、自社とファクタリング会社の2社だけで契約する2社間ファクタリングを選ぶことが多いです。
まずは2社間で始めて、信頼関係ができてから3社間に切り替える、というのも一つの手だと思います。

Q: 個人事業主(一人親方)でも利用できますか?

A: はい、利用できる業者はたくさんありますよ。
私の同業者仲間にも、一人親方でファクタリングをうまく活用して、大きな仕事を取ってきている人がいます。

ただし、法人に比べて審査のハードルが少し高くなる場合もあるようです。
ですから、個人事業主の利用実績が豊富で、建設業に特化している業者を選ぶのが成功のポイントだと思います。

Q: 赤字決算でも審査に通りますか?

A: 大丈夫です。
私も父から会社を引き継いだ当初は、正直なところ赤字でした。
それでも問題なくファクタリングを利用できました。

なぜなら、ファクタリングの審査で一番重視されるのは、自社の経営状況よりも「売掛先(工事代金を支払ってくれる会社)の信用力」だからです。
銀行融資を断られてしまった経営者の方にこそ、知っておいてほしい大切なポイントです。

Q: 注文書や請求書発行前の段階でも資金化できますか?

A: はい、対応してくれる業者はあります。
先ほどもお話ししましたが、これは建設業に強いファクタリング会社を見極めるための、非常に重要な指標になります。

私たち建設業は、材料の先行仕入れなどで、どうしても請求書を発行する前に資金が必要になりますからね。
私も大口案件用のD社は、この「注文書段階での対応力」を一番の決め手にして選びました。

Q: 悪質な業者に騙されないための、一番のポイントは何ですか?

A: これだけは絶対に覚えておいてください。
契約書を、隅から隅まで、一文字残らず自分の目で読むこと。
これに尽きます。

私がB社で失敗しかけたように、「事務手数料」「調査費用」「コンサル料」といったよく分からない名目で、後から手数料を上乗せしてくるケースがあります。
少しでも「ん?」と思う部分があれば、その場で担当者に納得できるまで説明を求めてください。
そして、少しでも不安が残るなら、絶対にその場でサインしてはいけません。

まとめ

ファクタリングは、私たち建設業経営者にとって、資金繰りを安定させるための強力な武器になります。

しかし、その使い方を間違えれば、高い手数料で会社の利益を圧迫するだけの「劇薬」にもなりかねません。
私もこの6年間で、本当にたくさんの失敗をしてきました。
だからこそ、この記事を読んでくださっている皆さんには、同じ轍を踏んでほしくないのです。

この記事で紹介した私の経験が、皆さんの会社に合った、信頼できるパートナー業者を見つけるための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

一人で悩まず、まずは信頼できそうな業者に、相談の電話を一本かけることから始めてみてください。
きっと道は開けるはずです。
一緒にこの厳しい時代を乗り越えていきましょう。