こんにちは、埼玉の川口市で建設会社を経営している山田誠です。
従業員は12名、年商は2.2億円ほど。
まあ、どこにでもあるような町の中小企業です。
先日、同業者の集まりで「ファクタリングって実際どうなの?」と聞かれました。
今でこそ上手に活用できるようになりましたが、6年前に初めて利用した時のことを思い出すと、今でも冷や汗が出ます。
正直に言うと、初回の契約で提示された手数料は「18%」。
目ん玉が飛び出るかと思いましたよ。
でも、あの時の私には、それを受け入れるしか道はなかったんです。
今日は、私がなぜその衝撃的な手数料を飲んだのか、その時の切羽詰まった状況や家族とのやり取りも含めて、包み隠さずお話ししようと思います。
資金繰りで眠れない夜を過ごしている経営者仲間の、何かの参考になれば幸いです。
目次
「あと1週間でショートする…」ファクタリング利用を決意した日
ありがたいけど、頭が痛い…大型受注の裏側
あれは、私が父から会社を引き継いでまだ間もない頃でした。
総額3000万円の、比較的に大きなマンションの建設工事を受注できたんです。
もちろん、大きな仕事が来たことは嬉しかったですよ。
でも、それと同時に、血の気が引くような感覚に襲われました。
建設業っていうのは、どうしても材料費や職人さんたちへの人件費が先に出ていきます。
工事代金が入ってくるのは、ずっと後。
この入金サイクルの長さが、我々のような中小企業を苦しめるんですよね。
この時も、まさにそうで、手元のキャッシュが一気に消えていくのが分かりました。
銀行融資では間に合わない!迫りくるXデー
「これはまずい」と思って、すぐにメインバンクに相談に行きました。
でも、ご存知の通り、銀行の融資は審査に時間がかかります。
担当者からは「早くても数週間は…」と言われ、頭が真っ白になりました。
だって、従業員の給料日も、下請けさんへの支払い日も、もう目前に迫っていたんです。
仕事は順調で、利益も出ているはずなのに、手元にお金がない。
「黒字倒産」という、あの嫌な言葉が何度も頭をよぎりました。
妻との家族会議「これって借金じゃないの?」
その日の夜、経理を担当してくれている妻の美香に、震える声で相談しました。
そして、ネットで必死に調べて見つけた「ファクタリング」という選択肢を打ち明けたんです。
「手数料18%」という数字を見せた時の、妻の心配そうな顔は今でも忘れられません。
「そんな高い金利、大丈夫なの?これって、借金じゃないの?」と。
お気持ちはよく分かります。
私も最初はそう思いましたから。
そこから2時間くらいかけて、必死に説明しました。
「これは借金(融資)じゃなくて、未来にもらえるはずの工事代金(売掛債権)を先に買い取ってもらう『売買契約』なんだ」と。だから決算書上、負債にはならないんだ、と。
正直、自分も勉強しながらの説明でしたが、最終的には妻も理解してくれました。
手数料18%の衝撃!1000万円が820万円になったリアル
契約書にサインする手が震えた、あの日のこと
翌日、私はファクタリング会社A社の事務所にいました。
提示された契約書には、はっきりと「手数料18%」と書かれています。
債権額1000万円に対して、実際に振り込まれるのは820万円。
手数料として180万円が引かれる。
その金額の重みに、サインをする手が震えました。
「これで本当に良かったのか…」という葛藤と、「でも、これで会社が救われる」という安堵が入り混じった、本当に複雑な心境でした。
なぜ3社間ファクタリングを選んだのか
私が選んだのは、取引先にも協力してもらう「3社間ファクタリング」でした。
手数料が2社間よりも安い傾向にある、というのが一番の理由です。
一般的な3社間の手数料相場は2%~9%程度と言われていますから、私の18%がいかに高かったか、今ならよく分かります。
それでも、当時は会社の信用力も低く、緊急性も高かったため、足元を見られたのかもしれません。
幸い、今回の取引先とは長年の付き合いがあり、正直に事情を話せる信頼関係があったことが、せめてもの救いでした。
従業員への説明と、意外な反応
最初は、従業員のみんなに心配をかけたくなくて、隠しておこうかとも思いました。
でも、経理の妻から「みんな、なんとなく会社の雰囲気が重いことに気づいてるよ」と聞いて、腹を括りました。
朝礼で、正直に話したんです。
「会社の資金繰りを安定させるための、一時的な手段だ」と。
みんな、黙って聞いていました。
気まずい空気が流れるかと思いきや、一番のベテランの職人さんが、こう言ってくれたんです。
「社長、それで会社が安定するなら良いことじゃないか。俺たちは、仕事さえできれば文句はねえよ」
この一言に、どれだけ救われたか分かりません。
本当に、涙が出そうになりました。
高い授業料だったか?180万円で得られたもの
守れたもの:従業員の給料と会社の信用
結果的に、180万円という大金を払って、何が守れたのか。
まずは、従業員12名の給料です。
これを遅らせることだけは、絶対にしたくありませんでした。
みんな家族を抱えていますから。
そして、材料業者さんや下請けさんへの支払いを、期日通りに行えたこと。
「山田建設は支払いが固い」という、父の代から築き上げてきた地域での信用を、お金で守ることができたんです。
痛感したこと:業者選びと契約書の大切さ
この初回の痛い経験が、後の悪質業者とのトラブルを未然に防ぐ、大きな教訓になりました。
「手数料の安さだけで業者を選んではいけない」
「契約書は、どんなに小さな文字でも隅々まで読まなければいけない」
これは、180万円を払って得た、何よりも大きな学びだったと今では思っています。
国もファクタリングに関する注意喚起をしていますが、まさにその通りだと実感しました。
【私の経験から】初めてファクタリングを考える経営者仲間へ
もし、昔の私と同じような状況の方がいらっしゃったら、私からのアドバイスは3つです。
1. 「手数料の高さ」だけで諦めないでほしい
手数料の数字だけ見て「ファクタリングは悪だ」と決めつけないでほしいんです。
もちろん、安いに越したことはありません。
でも、会社の状況によっては、高くても利用する価値がある緊急事態も確かにあるんです。
ただし、それはあくまで最後の手段。
そうならないための経営努力が一番大切なのは、言うまでもありません。
2. 必ず複数社から相見積もりを取ること
私の最初の失敗は、焦りから1社に絞ってしまったことです。
どんなに急いでいても、必ず2〜3社からは話を聞いて、条件を比較してください。
それだけで、手数料や条件が大きく変わる可能性があります。
冷静な比較検討が、会社を守ることに繋がります。
3. 家族や従業員は「仲間」だということ
一人で抱え込むのが、一番良くありません。
心配をかけたくない、という気持ちは痛いほど分かります。
でも、正直に状況を話すことで、思わぬ協力や理解を得られることもあります。
私にとっての妻や、あのベテラン職人さんの言葉のように。
あなたの会社の家族や従業員も、きっと一番の「仲間」のはずです。
よくある質問(FAQ)
Q: ファクタリングって、いわゆる「借金」とは違うんですか?
A: ええ、そこが一番大事なところです。私も妻に説明するのに苦労しました。ファクタリングは、お金を借りる「融資」ではなく、入金待ちの請求書(売掛債権)を買い取ってもらう「売買契約」なんです。だから、決算書上も負債にはなりませんし、信用情報にも影響しないのが一般的です。
Q: 手数料18%は高すぎませんか?相場はどれくらいなんですか?
A: 正直に言って、高いです。今ならそう断言できます。3社間ファクタリングの一般的な相場は2%~9%程度と言われていますね。 ただ、当時は会社の信用力も低く、緊急性も高かったため、足元を見られたんだと思います。だからこそ、業者選びと相見積もりが本当に重要なんです。
Q: 審査は本当に早いんですか?
A: はい、そこは本当に助かりました。銀行融資だと数週間かかるところ、私の場合はA社に相談してから3日で入金されました。このスピードがなければ、うちの会社は本当に危なかったかもしれません。
Q: 取引先にファクタリングの利用を知られると、関係が悪くなりませんか?
A: 私もそれが一番心配でした。だからこそ、普段から関係を築けていた取引先に、正直に「会社の資金繰りを安定させるためなんです」と頭を下げて説明しました。幸いにも理解していただけましたが、これはケースバイケースだと思います。どうしても取引先に知られたくない場合は、手数料は高くなりますが「2社間ファクタリング」という方法もあります。
Q: 悪質な業者に騙されないか心配です。
A: その心配、痛いほどわかります。私も後に悪質な業者に引っかかりかけましたから…。契約書に不自然な項目がないか、手数料の内訳が明確か、会社の所在地がはっきりしているかなど、基本的な確認を怠らないことが大切です。全国銀行協会なども注意を呼びかけていますので、参考にすると良いと思います。
まとめ
6年前、手数料18%という数字に震えながらサインした日のことを、今でも鮮明に覚えています。
あの180万円は、経営者として本当に、本当に痛い出費でした。
でも、あの時ファクタリングという選択肢があったからこそ、山田建設は今もこうして仕事を続けられていますし、従業員やその家族の生活も守ることができました。
ファクタリングは、決して魔法の杖ではありません。
手数料もかかりますし、使い方を間違えれば逆に資金繰りを悪化させる危険もあります。
でも、銀行融資が間に合わない時、会社の信用をどうしても守りたい時、最後の切り札になり得る強力な手段です。
もし今、あなたが昔の私と同じように資金繰りで頭を抱えているなら、どうか一人で悩まないでください。
この記事が、あなたの会社にとって最善の一手を見つけるための、小さなヒントになれば、これほど嬉しいことはありません。
一緒にこの厳しい時代を乗り越えていきましょう。